伊藤園の「健康」への取り組みと健康脆弱化予知予防コンソーシアムへの期待

2019年3月22日

伊藤園では、5つの製品開発コンセプトである「自然」、「健康」、「安全」、「良いデザイン」、「おいしい」をベースとして、お客様のニーズに即した商品企画・開発を行っています。この製品開発コンセプトのもと、中央研究所では「健康、おいしさ」の領域を中心に研究に取り組んでいます。最終的には特定保健用食品や機能性表示食品によってお客様に還元することを目標としています。

健康領域に関しては、特に近年の重要な課題である高齢者の健康問題に取り組んでおり、現在は認知機能に関する研究を進めております。緑茶にはテアニン、カテキン等の生理活性を持つ物質が含まれています。これら成分が認知機能に対してどのような作用を及ぼすのか、また生活の質がどのように改善していくのか検証していくことが現在の課題です。


緑茶をよく飲む人の認知障害が少ないことが複数の疫学調査で報告されています。我々はこの結果を基に緑茶の認知機能改善に関する研究を進めてまいりました。高齢者を対象に実施した介入試験では、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)や精神状態短時間検査(MMSE)得点の改善が認められ、緑茶抹を継続的に摂取することで認知機能が改善する可能性が示されました。今後は作用部位の特定や作用機序の解明を行い、緑茶の認知機能改善効果をPRしていきたいと考えております。
 さらに直近では日本の伝統食材である「抹茶」を世界へPRすべく、抹茶を使った研究も進めております。2020年の東京オリンピックを控え、「抹茶」を世界へ発信したいと考えております。

目に見える老化は分かりやすいものの、認知機能など目に見えないところで起こる変化は自分自身では捉えにくいものです。しかし、コンソーシアムで紹介されている「脳活バランサーCogEvo」、「あたまの健康チェック」等のツールを活用し脆弱化を予知し、さらには食品による改善を目指していきたいと考えております。日本の伝統文化とも言える喫茶を通じて、「誰もが健康で生き生きと活躍できる社会」に貢献できるよう、努めて参ります。

株式会社伊藤園 中央研究所 馬場吉武

横浜市立大学が取り組む先端研究

2018年2月20日

横浜市立大学(YCU)は、国際総合科学部と医学部の2学部、都市社会文化研究科、国際マネジメント研究科、生命ナノシステム科学研究科、生命医科学研究科、医学研究科の5研究科を横浜市内4キャンパスに展開し、附属2病院を擁する総合大学です。

学生数は、学部生が約4,000名、大学院生が約700名と、比較的小規模な大学ではありますが、イギリスの新聞であるタイムズ誌が発行している高等教育情報誌「TIMES HIGHER EDUCATION」の「Top universities with the best student-to-staff ratio 2018」では、教員一人当たりの学生数が3.5人と世界第14位、日本国内では第9位、文系学部を有する総合大学としては、国内第1位となっています。2016年には、学生数5,000人未満の大学ランキングで世界第16位、日本国内では第2位となるなど、YCUは小規模であるがゆえに教員と学生の距離が近く、親身できめ細かな教育・研究指導ができる環境にあることを高く評価されています。

YCUでは、様々な分野での先端研究に取り組んでいます。中でもがんや再生医療、遺伝学、感染症、免疫、植物学などの分野は、論文の被引用数が上位10%に入っているなど、まさに「強み」と言えます。特に、附置研究所である「先端医科学研究センター」には、ゲノム、プロテオーム、セローム、疾患モデルの4つの解析センターが整備されているほか、バイオバンクや産学連携ラボなど、共同研究のコアとなる高度な解析技術や支援体制も兼ね備えており、これらを活用しながら、がんや生活習慣病の克服を目指した基礎研究の成果を、臨床に応用する「橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)」を推進しています。これまでに文部科学省の「イノベーションシステム整備事業」や、日本医療研究開発機構(AMED)の「難治性疾患実用化研究事業」、「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」、「脳科学研究戦略推進プログラム」のような大規模プロジェクトにも数多く参画しており、最近では「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」にも多くのテーマが採択されています。このようにYCUは、国内有数のライフサイエンス研究拠点として、これまでも数々の優れた研究成果を上げてきており、国際主要論文への掲載だけでなく、特許化や実用化、事業化へと産学連携の推進とともにイノベーションを創出し続けています。

また、附属2病院は、「特定機能病院」や「災害拠点病院」に位置付けられているほか、市内の中核的な医療拠点としての役割も担っています。さらに2014年には、YCUを中心に横浜市とその周辺の15の医療機関が連携し、治験や臨床研究の推進に取り組む「横浜臨床研究ネットワーク」を発足させるとともに、2015年には、臨床研究を支援するための組織として「次世代臨床研究センター(Y-NEXT)」を設置するなど、YCUでは、臨床研究体制の充実・強化にも積極的に取り組んでいます。基礎研究から日常診療まで

このほか、健康・ヘルスケア分野におけるユニークな取組として、先端医科学研究センターの武部 貴則教授が推進している広告医学プロジェクトがあります。「広告医学」とは、アートやデザイン、コピーライティングなどの広告的視点を医学におけるコミュニケーション手法に取り入れながら、人々の健康行動を自然に動機付ける方法の研究で、将来、重篤な病気を発症することを未然に防ぎ、健康寿命の延伸を目指す新しい試みです。

広告医学プロジェクトのこれまでの代表的な取組例としては、駅や建物での「健康階段」があります。これは、階段に面白い仕掛けやペイントをすることで、利用者がエレベーターやエスカレータではなく、階段を上りたくなるよう動機付けを行い、楽しみながら運動不足の解消が図れるというものです。2015年には、横浜市との連携し、横浜シーサイドラインの2駅に「上りたくなる階段」として設置し、多くの人に利用いただきました。

さらに附属病院では、外来患者さんの待ち時間に対する精神的苦痛を緩和するとともに、少しでも元気付けられるような取組を行っています。2016年には、著名アーティストとのコラボレーションにより、小児科待合の壁に幻想的なアニメーション作品を投影しました。2017年からは「こころまちプロジェクト」として、待合用のイスの背にアート写真を展示し、待合全体をフォトギャラリーのように見立て、座っただけで癒され楽しめる工夫をしたほか、患者さんが自由にステッカーやメッセージを貼れるようツリー型ボードを設置しました。YCUのこうした取組は学内外からも非常に注目されており、今後さらなる展開が期待されています。

「健康階段」と「こころまちプロジェクト」

このように、基礎研究から橋渡し研究、臨床研究へと一貫した研究体制を構築しているだけでなく、独創的な取組も積極的に進めているのがYCUの特徴と言えます。2018年4月には、YCUに首都圏初の「データサイエンス学部」が設置されます。これからも優れた研究成果を社会に還元し続けるとともに、次世代を担う優れた人材の育成や関連産業の活性化にも貢献してまいります。引き続き、皆様の御支援・御協力をお願いいたします。

横浜市立大学

健康脆弱化予知予防コンソーシアムとあたまの健康チェック® 株式会社ミレニア

2018年2月13日

2025年は、団塊の世代が75歳を迎えるとされる年であり、世界的にも類を見ない大規模な人口パラダイムを迎える年として注目されています。特に、認知症人口は700万人に達するとされ実に65歳以上の人口の5人に1人が認知症という時代が間近に到来します。高齢者の20%が認知症という数字、日常生活に言い換えると働き世代夫婦の親のうち1人は認知症と言い換えることもできるでしょう。厚生労働省の発表によると、認知症の社会コストは、患者1名あたり年間およそ1,414万円と算出されています。また、2017年には、認知症は介護要する理由第一位にもなり、就労人口の介護離職の要因となることも懸念されています。つまり、認知症という社会課題は、自身には関係のないどこか遠くの話ではなく、私たちの日常の話題となっているということです。

認知症社会的コストは14.5兆円。介護が必要となった原因1位は認知症

生活習慣病など他の罹患数の多い代表的な疾病・疾患では、発症の原因やリスク要因、予防・治療に関する国民の知識レベルは広く知られるところであり、簡易検査、測定機器などで目に見える客観数値が確認できたり、症状から発症や進行が比較的予見されやすいとされます。

一方で、認知症に関しては、これ程までに広域な人口が影響を受ける社会課題であるにもかかわらず、一般的に私たち働き盛り世代に、認知症発症の原因やリスク要因、発症までのプロセスや予防に関する知識が広く知れ渡っているとは未だ言えない状況といえます。

例えば、新橋の駅前街頭アンケートで、50代の方に認知機能低下のリスク要因を挙げてもらうといくつ答えられるでしょうか?あるいは、ご自身やご両親の直近での認知機能の状態を客観数値で把握している方がどの程度いらっしゃるでしょうか?

認知症の発症と重篤化予防の観点では、現在の私たち国民の知識レベルは高いとは言えませんし、認知機能のセルフチェックを行うという習慣も定着するのはこれからというところでしょう。

私たち株式会社ミレニアは、国際的に評価・実績が高く、米国FDAや国内認知症予防プロジェクトでも採用される認知機能検査 あたまの健康チェック®を通じてこれらの課題解決の一助となれるよう日々サービス提供に従事しております。

 

従来の認知機能検査は、簡易的に健常群と認知症群を判別したり、認知症のどのステージに位置するかなどを簡易に評価することを目的とするもので、元来は健常者やMCIの方の認知機能を評価することは想定されていないものでした。MCIの定義では、その方は社会的に自立し就業も可能な状態であるとされています。そのため、従来の認知機能検査で、【健常~前臨床期~MCI】群の認知機能評価を実施した場合、検査を受ける対象者が時に馬鹿にされていると感じる質問項目もあり被検者の協力が得られず適切な検査が行いない等の側面も指摘されます。

あたまの健康チェック®が評価できる領域

あたまの健康チェック®は、これまで客観的な定量表現の難しかった【健常~前臨床期~MCI】群の認知機能を国際的エビデンスに基づく精度で評価できる最新の認知機能検査法で、認知症の予備軍とされるMCI(Mild Cognitive Impairment 軽度認知障害)の検知精度が97%*以上と国際的にも最高水準を誇ります。10分間の対面式(あるいは電話サービスを通じた)検査で、操作者の技量を問わずお手元の端末からアクセスできるクラウドサービスのため、職種や専門知識の有無などを問わず広く利活用しやすい検査法です。今日からできるあたまの健康習慣

あたまの健康チェック®は、一般の方がより簡易に、そして、身近にご自身やご家族の認知機能の状態を把握できる手段、様々な予防介入の効果測定の手段、そして、リスク要因として挙げられる疾病・疾患の治療進捗と認知機能推移の経時変化の相関を観察する手段の新しい選択肢となりました。

認知機能と時間の経過の相関図

しかしながら一方で、株式会社ミレニアでは、認知症発症の予防・遅延を目指す「介入(サービス、商品、活動など)」そのものを提供することを得意としていません。そのため、本コンソーシアムでは、様々な領域のアカデミア、行政、企業の皆様との連携を実現し、介入による予防が推進され、その効果(アウトカム)を産官学、そして、一般市民が共有できる社会基盤を提供できる未来を皆様と目指し、世界に先駆けて認知症問題に立ち向かう日本社会に微力ながら貢献して参りたいと考えています。

* Shankle WR, Romney AK, Hara J, et al. Method to improve the detection of mild cognitive impairment. PNAS. 2005; 102(13):4919-24.

 

株式会社ミレニア 取締役 新山 賢司

 


  • あたまの健康チェック® お問合せ 

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    • IROOP: 認知症予防のための健常者対象インターネットレジストリ

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高齢者の「まさかの予兆を見える化する」取り組みとコンソーシアムへの期待 エコナビスタ株式会社

2018年2月8日
エコナビスタ株式会社では、高齢者の「まさかの予兆を見える化する」健康見守り型クラウドサービス機器『ライフリズムナビ+Dr』の開発・販売を行っております。
『「見守り」は、事故が起こってからでは遅い。』

従来の見守り機器は、大きく3種類あります。【1】ナースコールのようにご本人が呼び出す緊急通報型【2】「○○を通過しセンサーが反応した」といった単機能のセンサー情報を使ったもの【3】「室内で活動反応がなくなった」等のように単機能センサーの反応がなくなったという、起こったことを後で知らせるだけのもの。このような前述の3種だけでは「事故を未然に防ぐための見守り」としてはまだまだ不足する要素が多くなっております。そこで理想の見守りを実現するために弊社が開発いたしました『ライフリズムナビ+Dr』は高齢者施設での見守り機器として、既に多数の高齢者施設にご導入を頂いております。

住友林業グループの株式会社フィルケアでは、「本当の家族のように寄り添える介護」を目指し、傍らにいる人の温もりを感じていただけるような生活サービスを提供しております。

【導入事例】住友林業グループ フィルケア株式会社 グランフォレストときわ台 様(弊社HPより)

 

センサーデータを24時間常時監視。AI技術でデータを解析

居室内トイレ、データ通信機付きセンサーマット、人感センサー、温湿度センサー、開閉センサー

居室内に設置をした非接触型センサーマット、人感センサー、温湿度センサー、開閉センサーは、IoT技術を駆使して24時間常時クラウドサーバにデータ送信しています。こうすることで離れた場所でも常に最新の室内状況をパソコンやスマホで把握できるようになり、精度の高い見守りが可能となっております。また、非接触型のセンサーマットからは心数や呼吸等の生体情報も常時クラウドサーバへ送信しています。このデータはAIの技術を用いてデータの解析を行っており、例えばリアルタイム解析の結果「睡眠状態からベッド上での活動量が増えてきている」という状態が導き出された場合、その情報をスマホなどへ素早くお知らせすることで、ベッドから離床するさらに前の状態を把握することが可能となり、いち早い駆けつけによる転倒予防等にもお役立て頂いております。

また、蓄積されたデータを連携する専門医療機関とまとめ、1ヶ月分の「健康レポート」としてもご提供をしております。その月の睡眠時間を中心とした生活のご様子の確認や、先月からの生活の変化などの把握にもお役立て頂いております。

今月の睡眠、活動、温湿度のレポートと健康アドバイス

見守られる方への心配り

高齢者施設等からのご意見として、「見守られる方の負担がいかに少ないか」といったお声をよくいただきます。この「負担」とは、「体に何かを取り付ける・身につける」といった身体的負担と、「見守られている」という行為に対して自立心や自尊心を傷つけてしまうといった精神的な負担です。スマホなどの操作に不慣れなご高齢者に対し、ウェアラブル機器を日々付けて頂くことは現実的には難しいケースが多く、また、カメラのような「監視されているのでは?」というような心理的負担があるものは、自立心や自尊心を傷つけてしまい、ご本人のやる気を削ぎ、フレイル化のきっかけにもなりかねません。

もちろん、お一人おひとりの状態・状況によって必要な見守りの内容が異なりますため、すべてにあてはまるものではありませんが、弊社はできるだけ多くの方に負担なくご利用をいただきたいと考えており、負担の少ないと思われます非接触センサーでの睡眠時の状態のリアルタイム把握を行っております。

弊社の取り組みと本コンソーシアムの活動への期待

弊社は「見守り機器」という製品から、高齢者の特に「睡眠時」における生体情報を日々取得しております。このような同一人物の長期間に及ぶ睡眠時の生体情報の経時データは類例も少なく、身体の脆弱化の傾向・シグナル等が隠れているのではないかと期待をし、研究を進めております。今後は、ビッグデータ化する経時データをさらに深層学習等を用いて解析を深め、新たなサービス等に還元していきたいと考えております。また、一般的に「睡眠」と「認知機能」には何らかの関係性があることは、多くの研究が行われている分野であるかと存じます。健康脆弱化予知予防コンソーシアムを通じ、「睡眠」や「認知機能」など、またその他様々な分野の皆様方と連携をし、共に豊かな健康社会の創造を目指す活動を期待しております。

スマイル100歳社会の実現に向けた神奈川県の取組みについて

2018年2月6日
ヘルスケア・ニューフロンティア

私たちは、人類がかつて経験したことのない超高齢社会を迎えようとしている。1970年と2050年の神奈川県の年齢別の人口分布図を比較すると、1970年はきれいなピラミッド型をしていたのに対して、2050年にはその形状が完全に逆転し、逆ピラミッド型になる。

1970年に25.6万人であった65歳以上の老年人口は、2050年には約295万人と10倍以上になり、1970年に4.7%であった高齢化率(老年人口が全人口に占める割合)は、2050年には36.4%まで進むなど、神奈川県は全国と比べても速いスピードで高齢化が進むと見込まれている。

急激な高齢化は、社会システムに大きな影響を及ぼす。社会保障制度など現行の社会システムは、少数の高齢者を多数の現役世代で支えることが前提となっている。少子高齢化が進展し、人口構造が大きく変化する中では、現行の社会システムを継続させることは困難である。

そこで、超高齢社会を乗り越えていくために、神奈川県では、ヘルスケアの分野で、「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」という2つのアプローチを融合させ、持続可能な新しい社会システムを創造していく「ヘルスケア・ニューフロンティア」政策を進めている。この取組みを進めることで、すべての世代が元気で自立したライフスタイルを実践し、100歳になっても健康で生きがいと笑顔あふれる「スマイル100歳社会」の実現を目指している。

「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」を融合させ、新たな市場・産業を創出していくヘルスケア・ニューフロンティア政策

未病(ME-BYO)

「ヘルスケア・ニューフロンティア」は、未病(ME-BYO)コンセプトを基軸に据えている。未病とは、健康と病気を「二分論」の概念で捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念である。

「スマイル100歳社会」の実現に向け、生涯を通じて元気で自立した生活を送るためには、一人ひとりが心身に関する正しい知識を持ち、自分の現在の未病の状態や将来の疾病リスクを把握しながら主体的に行動し、社会参加も含めた人生設計を描いていく必要がある。

これまでのように、行政や専門家のサービスを受動的に選択するのではなく、行政や専門家の支援を受けながら主体的に選択していくこと(パラダイムシフト)が「未病コンセプト」の趣旨である。

未病とは

未病産業の創出

「未病」コンセプトに基づき、神奈川県では、超高齢社会で成長産業となりうる、神奈川発の産業として、「未病の見える化」や「未病を改善する」ことにつながる具体的な商品やサービスなどを提供する「未病産業」を創出・拡大し、健康寿命の延伸と経済の活性化、さらには、新しいヘルスケアシステムの創造を目指している。

未病産業研究会

未病産業に関する取組みの中心となっているのが、「未病産業研究会」である。平成30年1月現在、514法人の参画が参加しており、製造業や小売業、サービス業だけではなく、IT関係企業、金融・保険、大学、医療機関、研究機関など、多種多様な業種の事業者が、異業種交流や産学連携に基づくイノベーションの創出に向け、勉強会やビジネスマッチング等に取り組んでいる。

研究会は原則として、未病産業の趣旨に賛同していただける法人であれば、随時入会可能であり、HPから申込が可能となっている。

ME-BYO BRAND

また、未病産業振興のブランド戦略として、優れた未病産業関連の商品やサービスを神奈川県が「ME-BYO BRAND」として認定する制度を平成27年度に創設し、音声の解析で心の未病状態を解析する「MIMOSYSR」や、少量の血液でがんの可能性を評価する「アミノインデックスR」など、現在8つの商品・サービスを認定し、未病産業の牽引役として広報している。

神奈川ME-BYOリビングラボ

多くの方がより安心して未病改善の実践に取り組めるよう、市町村や企業等と連携し、未病関連商品・サービスの機能・効果等を検証する実証フィールドを提供するとともに、実証結果を第三者が評価する「神奈川ME-BYOリビングラボ」を開始し、初年度となる今年度は、5件の実証事業を実施している。

ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド(仮称)

ヘルスケア・ニューフロンティアの早期実現に向けて、未病産業・最先端医療産業など今後の成長が期待されるヘルスケア分野の産業創出及び社会的課題の解決に資するベンチャー企業等を支援するため、民間と連携し10億円規模の「ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド(仮称)」の組成する。

ME-BYOサミット神奈川

「未病」をキーワードにした産学公連携により「ME-BYOサミット神奈川」の取組みを進めている。

その中心的な取組みが、2017年10月に開催した国際シンポジウム「ME-BYOサミット神奈川2017in箱根」である。シンポジウムでは国内外から有識者を招聘、未病に関する幅広い議論を行い、新たな社会システムの創出に向けた行動目標等を「ME-BYO 未来 戦略ビジョン」としてまとめ、国内外に発信した。また、同じく10月に最先端の未病関連商品やサービス等を一堂に介する展示会「ME-BYO Japan2017」を開催し、未病産業の最新動向を国内外に向けて発信した。

「健康・医療戦略」への未病の位置づけ

平成29年2月17日に閣議決定された、国の「健康・医療戦略」には、「未病の考え方などが重要になる」という表現とともに、「未病」の定義が新たに盛り込まれた。

国が未病コンセプトの重要性を認識したことで、今後、未病コンセプトの広がりに、ますます拍車がかかるものと期待している。

最後に

超高齢社会を乗り越えていくためには、一人ひとりが未病改善に向けた行動変容を起こすことが必要であり、これを支える未病産業の創出が重要である。

来年度、本県ではアカデミア・市町村と連携し、個人の現在の未病の状態や将来のリスクを数値で見える化する「未病指標」の第一弾として「メタボリスク指標」の構築に取り組み、行動変容を促す実証事業を実施する。

今後も、健康寿命の延伸に向けて、産学公の連携を一層強化し、行動変容を支える未病産業の市場拡大を加速させ、「スマイル100歳社会」の実現を目指していく。

 

神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室

地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所の紹介

2018年1月25日

地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所(産技総研)は、神奈川県産業技術センター(産技C)と公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST)が発展的に統合し、平成29年4月1日に新たな組織として発足しました。

産技総研は、産技CとKASTの強みを活かしたイノベーション創出機関として、基礎研究から事業化までの一貫した支援を行い、県内産業と科学技術の振興を図ることを目的としています。

KAST時代から実施してきた研究開発事業では、県の科学技術政策や産業振興政策に沿った研究テーマを任期付きプロジェクトで展開し、出口戦略を見定めた研究開発を推進しています。

今回のコラムでは、神奈川県のヘルスケア・ニューフロンティア政策や県が参画する「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」と関連する健康・ヘルスケア分野の研究テーマについて紹介させていただきます。

【未病改善食品評価プロジェクト】 リーダー 阿部啓子(東大)

高齢化、高ストレス化社会を迎え、健康で豊かな生活を維持することが求められています。本プロジェクトでは、神奈川県内の企業や公設研究機関と連携を図りながら、ニュートリゲノミクス*を用いた科学的エビデンスに基づいて、食品や化粧品等の機能性評価を行う国際評価機関の構築を目指しています。

2015年より機能性表示食品制度(消費者庁)が始まり、食品の機能性についての科学的エビデンスがよりいっそう社会的に求められるようになりました。本プロジェクトでは、様々な食品機能性評価を動物試験にて行い、さらに動物により明らかにした機能性をヒトで確認する研究に着手しています。

第一弾として桑葉の評価を行い、動物試験で得られた結果の一部がヒト試験でも同様に観察されることが明らかになりました。第二弾としてカナダ産のメープルシロップの評価を行い、動物で肝臓に対する作用を明らかにし、ヒトにおける機能性も明らかにしつつあります。

本プロジェクトで開発した評価法や得られた科学的エビデンスを基に、企業等が求めている食の機能性評価をワンストップ窓口にて受託し、動物試験により機能性の評価を明らかにすると共に、その評価の有効性がヒト試験によっても実証されるという一連の評価システムを「未病改善国際評価技術センター」で展開することを目標としています。

*ニュートリゲノミクスとは、nutrition(栄養)とgenomics(遺伝子科学)の合成語で、食品などの摂取に伴って起こる生体の変化を分子レベルで網羅的に解析する科学

 

【腸内細菌叢プロジェクト】 リーダー 大野博司(理研)

近年、腸内細菌に関する研究が盛んに行われ、糖尿病をはじめとする生活習慣病や各種疾患との関連が明らかとなりました。腸内環境を良い状態に保つことは健康を維持するうえで大切な要素となり、腸内細菌叢の変化を捉え適切に制御する技術が重要視されています。一方で腸内細菌叢は、民族や個々人による違いがあり、この違いを考慮した技術開発が求められています。

こうした背景から本プロジェクトでは、民族や個々人による腸内細菌叢の違いを考慮した腸内細菌叢を介した生活習慣病等の予防、診断、治療法の開発を行います。

糖尿病をモデルケースとして、検診受診者の協力者から得られた 生活習慣 、腸内環境、代謝機能、遺伝子多型等の臨床情報や、疾患モデル動物を用いた動物試験から得られた情報を同時にデータ化し、これらを統合解析することで、糖尿病と腸内細菌叢の関係について横断的に解析します。腸内細菌叢の変化に伴う糖尿病の発症メカニズムを明らかにすることで、その予防方法の確立を目指します。さらに得られた知見を基に、糖尿病のマーカー探索や機能性食品の開発などを展開し、腸内細菌叢を介した糖尿病の予防、診断、治療方法の確立を目指します。本プロジェクトの実施により、解析プラットフォームが構築されれば、糖尿病以外にも腸内細菌叢のバランスの乱れが関与する様々な疾患等への適用も期待されます。

【人工細胞膜システムプロジェクト】 リーダー 竹内昌治(東大)

細胞膜に埋め込まれた状態で機能を発揮する膜タンパク質は、細胞内外への物質の輸送や情報の伝達など、生命に重要な役割を担っています。また、膜タンパク質の機能不全が様々な疾病に発展することや、医薬品の効き易さ・副作用とも関わることがわかってきました。本プロジェクトでは、人工的に作製した細胞膜(人工脂質二重膜)へ、標的膜タンパク質を挿入し、電流や蛍光の強さを計測することで、医薬品候補物質の標的膜タンパク質への薬効等の評価が可能な膜タンパク質チップの実用化を目指しています。

病気の予知・予防への展開として、本プロジェクトで開発したコア技術である人工脂質二重膜を活用したセンシング技術を利用し、ノイズフリーで特異性の高いマイクロRNA(多種疾病の有用バイオマーカー)の検出系構築を目指しています。この「人工脂質二重膜を用いたマイクロRNA診断技術」を発展させ、癌をはじめとしたバイオマーカーとして注目されるマイクロRNAを、「迅速」、「高感度」かつ「簡便」に検出する診断技術・デバイスを開発することで、疾病の早期診断、早期治療が可能となります。

産技総研で実施してます健康・ヘルスケア分野の3つのプロジェクトを紹介させていただきましたが、他にも複数のプロジェクトを展開しております。今後とも「健康脆弱化予知予防コンソーシアム」の活動を通じて、会員の皆様と研究活動や未病改善国際評価技術センターとの連携をさせていただけることを期待しております。

 

地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所 研究開発部長 柳沼由美子

「認知機能の見える化」による社会参画の進化を目指して(トータルブレインケア株式会社)

2018年1月18日

株式会社トータルブレインケアでは、「認知機能の見える化」を実現するICTクラウドシステム『脳活バランサーCogEvo』の開発・提供とともに、さまざまな大学等研究機関と共同し『脳活バランサーCogEvo』を用いて世の中の課題を解決するために研究を進めています。また、自治体様とともに地域の皆様の介護予防や認知症予防の取り組み、さらに、多業種にわたる企業様とともに社会実装に向けて取り組んでいます。

現代の日本では、超高齢社会の到来により、医療・介護保険制度や費用の問題、認知症高齢者の生活や自動車運転の問題など、認知症に関する話題には事欠きません。認知症は認知機能の低下によって生活の様々な面で影響が出る病気ですが、その原因は多岐にわたり、状態も一人ひとり大きく異なります。また、人それぞれ生活習慣や生活環境も異なります。認知症の人への支援は、その多様性ゆえに難しい場合が多々あります。

私たちは、人間の「認知機能」に注目しています。脳の持つ働きは多岐にわたり、「認知機能」も、注意力や空間認識力、記憶力など様々な機能に分けることができ、またさらにそれらの機能も細分化することができます。しかし、私たちには自分の認知機能も、他人の認知機能も、目で見える形にすることは難しく、その把握も困難です。体温も血圧も家庭で手軽に計測し健康状態の把握や健康づくりに役立てられるのに対し、認知機能については簡単に確認する手段がありませんでした。

もし、さまざまな認知機能が体温や血圧のように、簡単に目に見える形で把握できたら、低下している機能を補う工夫や支援もはるかに容易にできることでしょう。

認知症の人や高齢者だけではなく、あらゆる世代にとって認知機能は生活の中で重要な役割を果たしています。認知機能の低下は、生活や仕事へ影響を及ぼします。働き盛りのビジネスパーソンには交渉や決断という点で高度な認知機能の活用が必要です。自動車を運転するためには、危険予知や冷静な判断が必要であり、学生や子どもにとっては勉強だけでなく仲間との適切なコミュニケーションにも認知機能を働かせる必要があります。

私たちは、ICTクラウドシステムである『脳活バランサーCogEvo』を開発し、「認知機能の見える化」に力を注いでいます。『脳活バランサーCogEvo』は、ゲーム・パズル感覚で課題(タスク)を解くことにより、認知機能の5つ(記憶力、注意力、計画力、見当識、空間認識力)を五角形のチャートで表現でき、認知機能の特性の把握を実現します。また、繰り返し行うことで認知機能の5つの項目の経時変化を確認することも可能にします。

『脳活バランサーCogEvo』による「認知機能の見える化」の実現により、認知機能は楽しく簡単な方法で、自分で確認(セルフモニタリング)することができ、それにより自分の認知機能の状態を分析(セルフアセスメント)し、自分でケア(セルフケア)することができるようになります。また、家族や支援者がモニタリングし、急激な変化やなだらかに続く低下に気づくことによって、受診につなげるとともに必要なケアを早期に導入することにつながります。

セルフモニタリング、セルフアセスメント、セルフケアは、高齢者にとっては健康脆弱化予防や介護予防につながり社会参画寿命を延伸することに直結しますが、ビジネスパーソンには自己管理を行うことでメンタルヘルスの管理やコンディションの維持や向上が、車を運転する人にとっては安全運転の心がけと自己の能力を把握するきっかけとなり、また、スポーツを行う人にとっても日々のコンディションの調整と確認につながります。

私たちはこの『脳活バランサーCogEvo』を用いて「認知機能の見える化」を社会に広め、人々の健康脆弱化を予防し、生活の質を向上することを使命と考えています。またそのために、「認知機能研究会」の運営や認知機能の見える化推進協議会の設立に向けた準備会の運営を行っています。「認知機能の見える化推進協議会設立準備会」では、これから社会生活に役立つ認知機能に関する情報提供や、認知機能を把握することの重要性や意義も啓発していきます。

認知機能はすべての人々に関係し、その生活や社会を支えるものです。よって、「認知機能の見える化」がもたらす可能性はさまざまな分野や業種に秘められており、すでに私たちはいくつかのビジネス分野での活用に向けて取り組みを進めています。一方で、まだまだ多くの課題とともに向上する可能性を秘めた分野が残されています。これから先も、様々な企業様と協働しその可能性を実現できるよう、課題解決に向けたプラットフォームを作っていきたいと考えています。

なお、弊社では、社員が『脳活バランサーCogEvo』を日々使用し認知機能の状態をセルフモニタリングして、体調を調整しています。例えば私の場合は、ここぞ!という商談や講演の前夜はきっちり7時間眠るように調整しますが、これはセルフモニタリングから得たセルフケアの秘訣で、私にとって最も認知機能が冴える状態をもたらします。社員の中には、より良く認知機能の状態を維持できるように、お酒を控えたり、運動を心がけたり、ストレス管理をし始めた人も現れ、仕事だけでなく生活全体に良い影響がでています。

私たちは、より多くの人が自分の認知機能を把握し、より良い社会生活を営めるように、これからも進んで参ります。健康脆弱化予知予防コンソーシアムの皆様との出会いから、「認知機能の見える化」をさらに進展させることで、より良い未来の社会を一緒に創造できることを期待しています。

 

株式会社トータルブレインケア
代表取締役社長 河越眞介

 

 

神奈川県大磯町における運動器機能低下スクリーニング及び介入に対する産官学の取組(アルケア株式会社)

2018年1月11日

弊社は、整形外科のギプス・人工肛門装具等の医療材料を主に医療機関向けに提供させて頂いている医療機器メーカーです。この度、神奈川県大磯町様と東海大学様と弊社の産官学連携により、一定の知見を得たので報告させて頂きます。日本は、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進み、地域住民の健康維持の為には、科学的妥当性・再現性高いシステムを構築し、事業として確立することで地域経済が持続可能になると考えております。

その課題解決のために、大磯町の中﨑町長(医師)、東海大学生涯スポーツ学科中村豊教授(整形外科医師)、弊社代表の鈴木輝重が“おおいそ産官学コンソーシアム”(以下産官学)を結成いたしました。産官学共通の課題認識として、介護主要因である運動器機能低下≒ロコモティブシンドローム (以下ロコモ)を見つける特定健診のようなスクリーニングの仕組みから運動機能低下者を抽出し、保健指導のような個別性の高い介護予防を適切な行政リソースで実施し身体機能向上が実現されることとしました。三者の役割は、大磯町は住民のリクルート及び場の提供、東海大学は研究責任及び学生派遣、弊社は企画及び必要物品の提供を行い実施致しました。平成27年度は経済産業省の委託を受け、健康寿命延伸産業創出推進事業として実施致しました。

運動器機能低下スクリーニング(ロコモ健診)は、ロコミル(ロコモを診る)、介護予防教室は、アンチロコモ(ロコモにならない)教室とそれぞれに名称をつけ実施致しました。

ロコミルの測定内容は、ロコモ度テスト(立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25)と下肢筋力測定器(ロコモスキャン)による測定を実施し、日本整形外科学会が策定した臨床判断値により、ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている状態)、ロコモ度2(移動機能の低下が進行している状態)と評価します。住民の利便性を考慮し、大磯町で行われている集団健診の場で実施しました。

 

アンチロコモ教室の実施内容は、「ときどき学び」(健康講話:健康リテラシー向上を目的)

「日々努力」(運動指導:自宅での下肢筋力向上のセルフエクササイズのフォームチェック)「日々振り返り」(介護予防手帳:毎日の筋トレ・有酸素運動・体調等の管理)「ときどきからだチェック」(下肢筋力測定:セルフエクサイズの効果測定)を月に1回町の公的施設に集まって、約2時間実施しました。半年で全6回の介護予防教室です。下肢強化特化型の介護予防教室は、参加者の下肢状態に合わせて、高強度・中強度・低強度・ケア体操の4種類で個別性を確保しています。

まずロコミルの横断結果をお示しします。2015~2016年の新規受診者のみの798名(男性305名/平均年齢66.4歳±7.6歳、女性493名/65.5歳±7.4歳)でメタボ該当者は約2割(177名、22.2%)であるのに対しロコモ該当者は約6割(455名、57.0%)となりました。また、全体の14.4%(115名)がロコモ・メタボの両方に該当していることが分かりました。

男女・年代・体型別にみていくと、男女ともに加齢に伴い、ロコモとメタボのダブルリスクに移行している可能性を示しました。また、現在の特定健診では、健康・異常なしと診断される方の中の男性の約3割、女性の約4割がロコモのみに該当するケースも散見され、太っていてロコモ、痩せていてロコモの異なるキャラクターが浮かび上がりました。男女ともに半数以上(男性52.8%、女性59.7%)がロコモに該当していることから、ロコモ健診において運動機能の低下を見つけることは男女問わず有用であると考えられます

男性のメタボ該当率(33.8%)に対し、女性のメタボ該当率(15.1%)は男性の約半分で、女性ではメタボには該当しない「ロコモのみ」の該当率(48.5%)が高いことから、特定健診のみでは拾いきれない女性の健康課題が見えてきました。

次にアンチロコモ教室の介入結果をお示しします。2015年と2016年に開催した教室では

継続参加率は87.6%(169名中148名)であり、データ欠損の無い128名において検討をすると、9種類の測定項目の中の6項目には差がありませんでしたが、バランス能力、下肢筋力、1ヶ月の運動に関する質問票の3項目に向上の傾向が見られ、128名中107名83.6%の下肢筋力が向上する結果となっています。

 

平成28年度の国民生活調査では、要介護になる原因の一位が認知症となりましたが、要支援になる原因は、関節疾患/骨折・転倒が一位となっています。運動器の機能低下は緩やかであり、自身で気づく機会は多くありません。今回の産官学事業の知見を活かし、弊社としては、運動機能測定商品を提供することで様々な所での”ロコモを知り、改善できる場づくり”のお役に立ち、運動機能を改善したいと願う人達の”人づくり”のための運動管理のノウハウ・ドゥハウを提供することで地域包括ケアのお役に立ちたいと考えております。

 

 アルケア株式会社 ヘルスケア事業部 部長 関 良一

 

協和発酵バイオのヘルスケア事業

2017年12月28日

協和発酵バイオのヘルスケア事業は、独自の発酵技術を活かし、世界中のお客様の健康で快適な生活に貢献する製品の創造を目指し、様々な健康機能性食品素材を提供しております。

「L-オルニチン」「L-シトルリン」「GABA」などに代表されるアミノ酸は、国内だけでなく広く海外へも供給しております。食品に使いやすいようにビタミンK2-4の高純度品を粉末化した「ビタミンK2協和」。その他にもミネラルやたんぱく質など幅広い素材を厳密な品質管理のもとに安全・安心を第一に製造しております。抗酸化素材として注目を浴びるカロチノイドは各種食品へ使用できるよう様々なタイプの製品をご用意しております。

またこれらの技術や知識を応用し、通信販売での「協和発酵バイオの健康食品」シリーズや、高齢者を中心に飲料やお食事の飲み込みが気になる方向けのサポートとしてトロミ調整食品「エンガード」シリーズを展開しています。

医薬・ファインケミカル・食品分野で長年培った優れたテクノロジーを駆使して、ヘルスケア事業の企画・開発・製造を行っている協和発酵バイオですが、その技術を支えているのがヘルスケア商品開発センターです。当センターは2006に筑波研究学園都市において、研究だけでなく、開発・サプリメント製造、さらには学術機能を強化した総合的な開発学術拠点として活動を開始しました。健康で快適な生活に貢献する価値の創造をめざして、細胞生物学、生理学、栄養学などライフサイエンスの知識や手法を活用し、健康に役立つ成分の探索、生体におけるその代謝・調節・制御などの研究から、食品工学、製剤技術などの開発技術を駆使した新たなヘルスケア素材の開発など、協和発酵バイオのヘルスケア事業活動を総合的に支えています。

 

以下にヘルスケア事業の活動のいくつかの例を、ご紹介します。

当社は2016年にロイシン、バリン、イソロイシン、シトルリンを配合したサプリメント『協和発酵バイオのアミノスタイル』を新発売しました。筋肉量は50代以降急速に減少し、20代と比べると80歳までに30~40%も低下してしまいます。筋肉の素であるたんぱく質の構成成分はアミノ酸であり、適切な運動とともに筋肉づくりをサポートするアミノ酸を補給するなどの栄養ケアも大切です。『協和発酵バイオのアミノスタイル』は、筋肉の素となるアミノ酸ロイシンを1,600mgと、ロイシンをサポートするアミノ酸バリン・イソロイシンを各300mgに加えて、めぐりと筋肉づくりをサポートするアミノ酸シトルリンを800mg配合しました。本商品は、文部科学省・科学技術振興機構が推進する産学連携プロジェクト「革新的イノベーション創出プログラム」のもと、筑波大学と協和発酵バイオの共同研究に基づき開発されたものです。

 

2017 年 9 月 、当社は、日米特許取得アミノ酸処方 VELOX(シトルリン&アルギニン)を配合したスポーツサプリメント『VELOX(ヴェロックス)チャージ』を新発売しました。協和発酵バイオ初の本格スポーツサプリメント『VELOX チャージ』は、“運動前”に特化して協和発酵バイオが開発した、初のスポーツサプリメントです。1 包あたりアミノ酸 4,000mg(VELOX、 シトルリンとアルギニンをそれぞれ3,000mg、 BCAA 1,000mg含有)を配合しています。持久系競技のアスリート(マラソン、サッカー、水泳、バスケットボールなど)や、シリアスランナーなど、競技中のトップパフォーマンスを維持したい人にお勧めの製品として開発されました。“VELOX”は、“めぐり”を補助するアミノ酸「シトルリン」と、“活力”を補助するアミノ酸「アルギニン」の独自配合の名称で、日米で同時に特許を取得しています。特許と科学的エビデンスに基づく配合比率です。 スポーツサプリメント先進国である米国でも“VELOX”は高く評価され、全米 No.1 スポーツサプリメントメーカーにも採用されています。商品開発に当たっては、スポーツ科学系の大学研究者やアスリートにも協力頂き、摂取量や摂取タイミングだけでなく、味や飲み易さにまでこだわって製品化しました。

2016年11月、当社は、日本フェンシング協会とスポンサー契約を締結いたしました。本契約は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を前に、同協会の日本代表選手の育成強化はもちろんのこと、スポーツを通した社会貢献を目的としております。フェンシングは海外で特に人気のあるスポーツであり、海外売上比率が4割を超える協和発酵バイオの事業フィールドに適合しています。また、高度な集中力や瞬発力を要求される同競技の特徴は、高度な品質や安全性が求められる協和発酵バイオの商品特性にも通じます。

「健康脆弱化予知予防コンソーシアム」の活動を通じて、理化学研究所をはじめとする様々な大学、企業、医療・福祉関係機関等の方々と活発な情報交換をさせていただきたいと考えています。

 

協和発酵バイオ株式会社 技術開発部 三橋敏

森永乳業の健康・ヘルスケア分野の取り組みの御紹介

2017年12月26日

当社は食品企業として、常に皆様の健康のお役に立ちたいと思っています。私たちはこれまでビフィズス菌やラクトフェリン等、生理活性機能を持つ食品素材に着目し、長年研究を続けてまいりました。以下にその一端をご紹介いたします。

ビフィズス菌は大腸に棲んでいる腸内細菌の一種で、乳幼児~成年期には多く、加齢に伴って腸内での割合が減少することが知られています。健康に生まれた赤ちゃんの腸内フローラは、90%以上がビフィズス菌です。然しながら出生時の体重が1,500g未満の極低出生体重児や超低出生体重児は腸管が未発達のためビフィズス菌の定着が遅れ、悪玉菌が増えてしまいます。当社では大学病院との共同研究を行い、独自に開発したビフィズス菌を極低出生体重児や超低出生体重児に投与することで、ビフィズス菌優位な腸内細菌叢をより速く形成し、新生児にとって危険な疾患を予防できることがわかってきました1),2) 。現在は、NICU(新生児集中治療室)や小児科などの全国の施設にこのビフィズス菌が提供されています。また国内だけでなく、2012年からはオーストラリアのNICUで、また近年はニュージーランドやシンガポールのNICUでも使用されるようになりました。

また、弊社ヨーグルト製品に使用されるビフィズス菌BB536は、その整腸作用3)が 認められ、特定保健用食品としてスーパーマーケットなどで販売されており、生きたビフィズス菌を手軽に摂取いただくことができます。このBB536はその後の研究で、肉食による腸内環境の劣化に対し、ビフィズス菌の減少を抑制し、また悪玉(ビロフィラ)菌の増加を抑制することが判っています4。「お腹のメンテナンスにはビフィズス菌!」と覚えていただければ幸いです。

ラクトフェリンは、初乳に多く含まれる鉄結合性タンパク質で、赤ちゃんの免疫に寄与する成分として着目されてまいりました。ラクトフェリンは鉄に結合しているため、蛋白質としては珍しく赤色であることが特徴です。

ラクトフェリンが有する生理作用は、その対象が赤ちゃんだけにはとどまらず、国内外の研究者によって数多く研究され、2017年12月19日現在で、11,000件を超える論文が報告されています(SCOPUS調べ)。

昨年も、慶応大学らのグループから興味深い研究結果5が報告されました。

即ち、通常私たちの体内では、生体内外から有害な刺激を受けた時に、自分を守るために「炎症」という反応を起こします。この炎症により外部から侵入した菌を殺すことなどが出来ますが、逆に炎症が激しすぎると、自分自身に害を及ぼし、感染症、自己免疫疾患、血栓症、動脈硬化症などを引き起こします。このため激しすぎる「炎症」に対しては、ステロイドなどの薬剤(抗炎症剤)を使用しますが、これらの薬剤は副作用も強く、問題となっています。

炎症反応にはいくつかの仕組みが有りますが、2004年にこれまでの概念を破る「NETs(好中球細胞外トラップ:Neutrophil Extracellular Trap)」という現象が報告されました6。NETsは、白血球の一種である好中球が特定の刺激を受けて、あたかも爆発するようにDNAやヒストンなどの核成分を放出するのですが、ラクトフェリンは、このNETsが放出される直前に凝集させることで核成分の放出を防ぐ作用があることが判りました。今後はステロイド剤などに代わる、より安全な抗炎症剤となることが期待されています。

この他にも機能性ペプチドなど、多くの研究開発を行っておりますが、残念ながら字数が尽きてしまいました。今後、本コンソーシアムの中で健康寿命の延伸を目指し、私たちは食の分野からアプローチしていきたいと存じます。

森永乳業は、おかげさまで創業100周年を迎えました。今後も皆様のかがやく“笑顔”のために、取り組んでまいりたいと思います。

 1)PLOS One 11(3), e0150775-,2016
  2) 日本小児科学会雑誌 108,283-,2004
  3) Biosci Microflora 16, 73-, 1997
  4) Benef Microflora 7(4), 473-, 2016
  5)EBioMedicine 10, 204-,2016
  6)Science 303(5663), 1532-, 2004

 

森永乳業株式会社 研究本部研究企画部 素本友紀

 

赤色が特徴的なラクトフェリンの粉末