スマイル100歳社会の実現に向けた神奈川県の取組みについて

2018年2月6日
ヘルスケア・ニューフロンティア

私たちは、人類がかつて経験したことのない超高齢社会を迎えようとしている。1970年と2050年の神奈川県の年齢別の人口分布図を比較すると、1970年はきれいなピラミッド型をしていたのに対して、2050年にはその形状が完全に逆転し、逆ピラミッド型になる。

1970年に25.6万人であった65歳以上の老年人口は、2050年には約295万人と10倍以上になり、1970年に4.7%であった高齢化率(老年人口が全人口に占める割合)は、2050年には36.4%まで進むなど、神奈川県は全国と比べても速いスピードで高齢化が進むと見込まれている。

急激な高齢化は、社会システムに大きな影響を及ぼす。社会保障制度など現行の社会システムは、少数の高齢者を多数の現役世代で支えることが前提となっている。少子高齢化が進展し、人口構造が大きく変化する中では、現行の社会システムを継続させることは困難である。

そこで、超高齢社会を乗り越えていくために、神奈川県では、ヘルスケアの分野で、「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」という2つのアプローチを融合させ、持続可能な新しい社会システムを創造していく「ヘルスケア・ニューフロンティア」政策を進めている。この取組みを進めることで、すべての世代が元気で自立したライフスタイルを実践し、100歳になっても健康で生きがいと笑顔あふれる「スマイル100歳社会」の実現を目指している。

「最先端医療・最新技術の追求」と「未病の改善」を融合させ、新たな市場・産業を創出していくヘルスケア・ニューフロンティア政策

未病(ME-BYO)

「ヘルスケア・ニューフロンティア」は、未病(ME-BYO)コンセプトを基軸に据えている。未病とは、健康と病気を「二分論」の概念で捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念である。

「スマイル100歳社会」の実現に向け、生涯を通じて元気で自立した生活を送るためには、一人ひとりが心身に関する正しい知識を持ち、自分の現在の未病の状態や将来の疾病リスクを把握しながら主体的に行動し、社会参加も含めた人生設計を描いていく必要がある。

これまでのように、行政や専門家のサービスを受動的に選択するのではなく、行政や専門家の支援を受けながら主体的に選択していくこと(パラダイムシフト)が「未病コンセプト」の趣旨である。

未病とは

未病産業の創出

「未病」コンセプトに基づき、神奈川県では、超高齢社会で成長産業となりうる、神奈川発の産業として、「未病の見える化」や「未病を改善する」ことにつながる具体的な商品やサービスなどを提供する「未病産業」を創出・拡大し、健康寿命の延伸と経済の活性化、さらには、新しいヘルスケアシステムの創造を目指している。

未病産業研究会

未病産業に関する取組みの中心となっているのが、「未病産業研究会」である。平成30年1月現在、514法人の参画が参加しており、製造業や小売業、サービス業だけではなく、IT関係企業、金融・保険、大学、医療機関、研究機関など、多種多様な業種の事業者が、異業種交流や産学連携に基づくイノベーションの創出に向け、勉強会やビジネスマッチング等に取り組んでいる。

研究会は原則として、未病産業の趣旨に賛同していただける法人であれば、随時入会可能であり、HPから申込が可能となっている。

ME-BYO BRAND

また、未病産業振興のブランド戦略として、優れた未病産業関連の商品やサービスを神奈川県が「ME-BYO BRAND」として認定する制度を平成27年度に創設し、音声の解析で心の未病状態を解析する「MIMOSYSR」や、少量の血液でがんの可能性を評価する「アミノインデックスR」など、現在8つの商品・サービスを認定し、未病産業の牽引役として広報している。

神奈川ME-BYOリビングラボ

多くの方がより安心して未病改善の実践に取り組めるよう、市町村や企業等と連携し、未病関連商品・サービスの機能・効果等を検証する実証フィールドを提供するとともに、実証結果を第三者が評価する「神奈川ME-BYOリビングラボ」を開始し、初年度となる今年度は、5件の実証事業を実施している。

ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド(仮称)

ヘルスケア・ニューフロンティアの早期実現に向けて、未病産業・最先端医療産業など今後の成長が期待されるヘルスケア分野の産業創出及び社会的課題の解決に資するベンチャー企業等を支援するため、民間と連携し10億円規模の「ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド(仮称)」の組成する。

ME-BYOサミット神奈川

「未病」をキーワードにした産学公連携により「ME-BYOサミット神奈川」の取組みを進めている。

その中心的な取組みが、2017年10月に開催した国際シンポジウム「ME-BYOサミット神奈川2017in箱根」である。シンポジウムでは国内外から有識者を招聘、未病に関する幅広い議論を行い、新たな社会システムの創出に向けた行動目標等を「ME-BYO 未来 戦略ビジョン」としてまとめ、国内外に発信した。また、同じく10月に最先端の未病関連商品やサービス等を一堂に介する展示会「ME-BYO Japan2017」を開催し、未病産業の最新動向を国内外に向けて発信した。

「健康・医療戦略」への未病の位置づけ

平成29年2月17日に閣議決定された、国の「健康・医療戦略」には、「未病の考え方などが重要になる」という表現とともに、「未病」の定義が新たに盛り込まれた。

国が未病コンセプトの重要性を認識したことで、今後、未病コンセプトの広がりに、ますます拍車がかかるものと期待している。

最後に

超高齢社会を乗り越えていくためには、一人ひとりが未病改善に向けた行動変容を起こすことが必要であり、これを支える未病産業の創出が重要である。

来年度、本県ではアカデミア・市町村と連携し、個人の現在の未病の状態や将来のリスクを数値で見える化する「未病指標」の第一弾として「メタボリスク指標」の構築に取り組み、行動変容を促す実証事業を実施する。

今後も、健康寿命の延伸に向けて、産学公の連携を一層強化し、行動変容を支える未病産業の市場拡大を加速させ、「スマイル100歳社会」の実現を目指していく。

 

神奈川県政策局ヘルスケア・ニューフロンティア推進本部室