森永乳業の健康・ヘルスケア分野の取り組みの御紹介

2017年12月26日

当社は食品企業として、常に皆様の健康のお役に立ちたいと思っています。私たちはこれまでビフィズス菌やラクトフェリン等、生理活性機能を持つ食品素材に着目し、長年研究を続けてまいりました。以下にその一端をご紹介いたします。

ビフィズス菌は大腸に棲んでいる腸内細菌の一種で、乳幼児~成年期には多く、加齢に伴って腸内での割合が減少することが知られています。健康に生まれた赤ちゃんの腸内フローラは、90%以上がビフィズス菌です。然しながら出生時の体重が1,500g未満の極低出生体重児や超低出生体重児は腸管が未発達のためビフィズス菌の定着が遅れ、悪玉菌が増えてしまいます。当社では大学病院との共同研究を行い、独自に開発したビフィズス菌を極低出生体重児や超低出生体重児に投与することで、ビフィズス菌優位な腸内細菌叢をより速く形成し、新生児にとって危険な疾患を予防できることがわかってきました1),2) 。現在は、NICU(新生児集中治療室)や小児科などの全国の施設にこのビフィズス菌が提供されています。また国内だけでなく、2012年からはオーストラリアのNICUで、また近年はニュージーランドやシンガポールのNICUでも使用されるようになりました。

また、弊社ヨーグルト製品に使用されるビフィズス菌BB536は、その整腸作用3)が 認められ、特定保健用食品としてスーパーマーケットなどで販売されており、生きたビフィズス菌を手軽に摂取いただくことができます。このBB536はその後の研究で、肉食による腸内環境の劣化に対し、ビフィズス菌の減少を抑制し、また悪玉(ビロフィラ)菌の増加を抑制することが判っています4。「お腹のメンテナンスにはビフィズス菌!」と覚えていただければ幸いです。

ラクトフェリンは、初乳に多く含まれる鉄結合性タンパク質で、赤ちゃんの免疫に寄与する成分として着目されてまいりました。ラクトフェリンは鉄に結合しているため、蛋白質としては珍しく赤色であることが特徴です。

ラクトフェリンが有する生理作用は、その対象が赤ちゃんだけにはとどまらず、国内外の研究者によって数多く研究され、2017年12月19日現在で、11,000件を超える論文が報告されています(SCOPUS調べ)。

昨年も、慶応大学らのグループから興味深い研究結果5が報告されました。

即ち、通常私たちの体内では、生体内外から有害な刺激を受けた時に、自分を守るために「炎症」という反応を起こします。この炎症により外部から侵入した菌を殺すことなどが出来ますが、逆に炎症が激しすぎると、自分自身に害を及ぼし、感染症、自己免疫疾患、血栓症、動脈硬化症などを引き起こします。このため激しすぎる「炎症」に対しては、ステロイドなどの薬剤(抗炎症剤)を使用しますが、これらの薬剤は副作用も強く、問題となっています。

炎症反応にはいくつかの仕組みが有りますが、2004年にこれまでの概念を破る「NETs(好中球細胞外トラップ:Neutrophil Extracellular Trap)」という現象が報告されました6。NETsは、白血球の一種である好中球が特定の刺激を受けて、あたかも爆発するようにDNAやヒストンなどの核成分を放出するのですが、ラクトフェリンは、このNETsが放出される直前に凝集させることで核成分の放出を防ぐ作用があることが判りました。今後はステロイド剤などに代わる、より安全な抗炎症剤となることが期待されています。

この他にも機能性ペプチドなど、多くの研究開発を行っておりますが、残念ながら字数が尽きてしまいました。今後、本コンソーシアムの中で健康寿命の延伸を目指し、私たちは食の分野からアプローチしていきたいと存じます。

森永乳業は、おかげさまで創業100周年を迎えました。今後も皆様のかがやく“笑顔”のために、取り組んでまいりたいと思います。

 1)PLOS One 11(3), e0150775-,2016
  2) 日本小児科学会雑誌 108,283-,2004
  3) Biosci Microflora 16, 73-, 1997
  4) Benef Microflora 7(4), 473-, 2016
  5)EBioMedicine 10, 204-,2016
  6)Science 303(5663), 1532-, 2004

 

森永乳業株式会社 研究本部研究企画部 素本友紀

 

赤色が特徴的なラクトフェリンの粉末