横浜市立大学が取り組む先端研究

2018年2月20日

横浜市立大学(YCU)は、国際総合科学部と医学部の2学部、都市社会文化研究科、国際マネジメント研究科、生命ナノシステム科学研究科、生命医科学研究科、医学研究科の5研究科を横浜市内4キャンパスに展開し、附属2病院を擁する総合大学です。

学生数は、学部生が約4,000名、大学院生が約700名と、比較的小規模な大学ではありますが、イギリスの新聞であるタイムズ誌が発行している高等教育情報誌「TIMES HIGHER EDUCATION」の「Top universities with the best student-to-staff ratio 2018」では、教員一人当たりの学生数が3.5人と世界第14位、日本国内では第9位、文系学部を有する総合大学としては、国内第1位となっています。2016年には、学生数5,000人未満の大学ランキングで世界第16位、日本国内では第2位となるなど、YCUは小規模であるがゆえに教員と学生の距離が近く、親身できめ細かな教育・研究指導ができる環境にあることを高く評価されています。

YCUでは、様々な分野での先端研究に取り組んでいます。中でもがんや再生医療、遺伝学、感染症、免疫、植物学などの分野は、論文の被引用数が上位10%に入っているなど、まさに「強み」と言えます。特に、附置研究所である「先端医科学研究センター」には、ゲノム、プロテオーム、セローム、疾患モデルの4つの解析センターが整備されているほか、バイオバンクや産学連携ラボなど、共同研究のコアとなる高度な解析技術や支援体制も兼ね備えており、これらを活用しながら、がんや生活習慣病の克服を目指した基礎研究の成果を、臨床に応用する「橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)」を推進しています。これまでに文部科学省の「イノベーションシステム整備事業」や、日本医療研究開発機構(AMED)の「難治性疾患実用化研究事業」、「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」、「脳科学研究戦略推進プログラム」のような大規模プロジェクトにも数多く参画しており、最近では「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」にも多くのテーマが採択されています。このようにYCUは、国内有数のライフサイエンス研究拠点として、これまでも数々の優れた研究成果を上げてきており、国際主要論文への掲載だけでなく、特許化や実用化、事業化へと産学連携の推進とともにイノベーションを創出し続けています。

また、附属2病院は、「特定機能病院」や「災害拠点病院」に位置付けられているほか、市内の中核的な医療拠点としての役割も担っています。さらに2014年には、YCUを中心に横浜市とその周辺の15の医療機関が連携し、治験や臨床研究の推進に取り組む「横浜臨床研究ネットワーク」を発足させるとともに、2015年には、臨床研究を支援するための組織として「次世代臨床研究センター(Y-NEXT)」を設置するなど、YCUでは、臨床研究体制の充実・強化にも積極的に取り組んでいます。基礎研究から日常診療まで

このほか、健康・ヘルスケア分野におけるユニークな取組として、先端医科学研究センターの武部 貴則教授が推進している広告医学プロジェクトがあります。「広告医学」とは、アートやデザイン、コピーライティングなどの広告的視点を医学におけるコミュニケーション手法に取り入れながら、人々の健康行動を自然に動機付ける方法の研究で、将来、重篤な病気を発症することを未然に防ぎ、健康寿命の延伸を目指す新しい試みです。

広告医学プロジェクトのこれまでの代表的な取組例としては、駅や建物での「健康階段」があります。これは、階段に面白い仕掛けやペイントをすることで、利用者がエレベーターやエスカレータではなく、階段を上りたくなるよう動機付けを行い、楽しみながら運動不足の解消が図れるというものです。2015年には、横浜市との連携し、横浜シーサイドラインの2駅に「上りたくなる階段」として設置し、多くの人に利用いただきました。

さらに附属病院では、外来患者さんの待ち時間に対する精神的苦痛を緩和するとともに、少しでも元気付けられるような取組を行っています。2016年には、著名アーティストとのコラボレーションにより、小児科待合の壁に幻想的なアニメーション作品を投影しました。2017年からは「こころまちプロジェクト」として、待合用のイスの背にアート写真を展示し、待合全体をフォトギャラリーのように見立て、座っただけで癒され楽しめる工夫をしたほか、患者さんが自由にステッカーやメッセージを貼れるようツリー型ボードを設置しました。YCUのこうした取組は学内外からも非常に注目されており、今後さらなる展開が期待されています。

「健康階段」と「こころまちプロジェクト」

このように、基礎研究から橋渡し研究、臨床研究へと一貫した研究体制を構築しているだけでなく、独創的な取組も積極的に進めているのがYCUの特徴と言えます。2018年4月には、YCUに首都圏初の「データサイエンス学部」が設置されます。これからも優れた研究成果を社会に還元し続けるとともに、次世代を担う優れた人材の育成や関連産業の活性化にも貢献してまいります。引き続き、皆様の御支援・御協力をお願いいたします。

横浜市立大学